その「ご要望」、本当にかなえるべきものですか?
この記事でわかること:間取りの要望を全て詰め込むと起きる問題 / 設計者が本当に重視すべきポイント / 規格住宅との違い
はじめに:ご要望はすべて「正解」とは限らない
家づくりを考え始めると、インスタグラムやYouTubeで「これが正解」と言わんばかりの間取りやアイデアに出会うことが増えます。もちろんそれらは一つの答えではありますが、“絶対”ではありません。
工務店として日々お客様に向き合う中で感じるのは、言葉をそのまま受け止めるだけでは、本当に良い家にはならないということです。
最近よくいただくご要望
たとえば、次のようなご希望は本当によく耳にします。
・洗面と脱衣スペースを分けたい。
・ランドリールームが欲しい。
・洗濯物を収納できるファミリークローゼットを1階に
・ウォークインで入れる「部屋」のようなパントリー
・通り抜けできるシューズインクローゼットと、別の家族玄関
・アイランド型でキッチンを横並びに
・主寝室を1階に
どれも否定されるものではありません。ただ、これらをすべて言葉通りに詰め込むと、1階が大きくなりすぎ、2階が極端に小さくなるという構造的な問題が起きます。結果として建物の外観バランスが崩れたり、最悪の場合、家の中心であるはずのLDKが窮屈になってしまうケースさえあります。
本当に大切なのは「要素」ではなく「居心地」
家づくりで本来重視すべきは、個別の設備や部屋の数ではなく、LDKという家族が最も長く過ごす空間に、心地よい居場所があるかどうかだと考えています。
そのために設計者が調整すべきポイントは、
・空間の広さの取り方
・外部(庭・光・風)との繋がり方
この2点に集約されます。ここが整っていれば、多少の間取りの工夫や妥協があっても、暮らしやすい家は十分に実現できます。
予算という現実と向き合いながら、最適解を探す
家づくりには当然、ご予算という制約があります。理想をすべて詰め込むことと、現実的な予算に収めること。この両立こそが設計者の腕の見せどころです。
私自身、お客様との会話の中で「本当にご家族に必要なことは何か」を常に想像しながら、まるで自分が住む家であるかのような気持ちで設計に向き合っています。先ほど挙げたようなご要望も、少し視点を柔らかくするだけで、良い意味で妥協できるポイントが見えてくるものです。
構造、デザイン、周辺環境、パッシブ性能、そしてご予算 これらすべてを踏まえた上で最適解を導き出すことこそ、設計者の本当の仕事だと思っています。
規格型の住宅では実現しにくい理由
こうした調整は、決まった間取りを敷地に当てはめていく規格型の住宅では、どうしても難しくなります。お客様一人ひとりの暮らし方、敷地の条件、ご予算のバランスを見ながら都度設計していくスタイルだからこそ、可能になることだと感じています。
インテリアも重要な「設計」の一部
ここまでお話したのは主に間取りや構造に関する視点ですが、色や素材といったインテリアコーディネートも、家全体の居心地を左右する、同じくらい重要な要素です。空間の広さや繋がりを整えるのと同様に、素材選びにも住まい手の暮らしへの理解が欠かせません。
まとめ
ご要望を一つひとつ丁寧に伺いながらも、「本当にそのご家族にとって心地よい住まいとは何か」を設計者として常に問い続けること。それが、あなたの理想を、かたちにする。 私たちの家づくりの原点です。
執筆者:タケシバ建設 代表
島根県松江市、出雲市、大田市エリアで、自然素材と経年美にこだわり、性能とデザインの両立を目指した注文住宅づくりに携わっています。
更新年月日:2026年9月
よくある質問
Q. 要望をすべて叶えることはできませんか?
もちろん実現に向け努力します。しかし全ての実現にこだわりすぎると、ご予算との剥離や、建物バランスが崩れることがあります。優先順位をつけて対話しながら設計することが重要です。
Q. 規格住宅との違いは何ですか?
規格住宅は決まった間取りを敷地にあてはめますが、個別設計ではご家族の暮らし方・好み・予算・敷地条件に合わせて最適なバランスを調整できます。
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